IFRS

国際財務報告基準IFRS)を巡る動向

  • IFRS 13:公正価値測定
  • 金融商品−減損:2012年12月20日に「現在予想信用損失モデル(Current Expected Credit Loss model, CECLモデル)」に基づく公開草案を公表
  • 収益認識:

(取引価格の配分−独立販売価格の変動性が高いか、不確実性がある場合)

1) 独立販売価格を見積るための適切な方法として、2011年の改訂公開草案で提案されている残余アプローチを維持

2) 複数の履行義務について独立販売価格の変動性が高いか、不確実性がある場合、少なくとも1つの財またはサービスの独立販売価格の変動性が高くないか、不確実性がない場合には、残余アプローチを用いることができる。
3) 独立販売価格の見積りに残余アプローチを用いる前に、2011年の改訂公開草案で提案されている値引きの配分(第75項)を行う
4) 2011年の改訂公開草案の偶発対価の配分(第76項)に従って、偶発対価を、明確に識別できる複数の財またはサービスに配分することができる

(契約獲得コスト)
1) 企業が顧客との契約を獲得するための増分コストを回収できると見込んでいる場合に、それらのコストを資産として認識することを企業に要求する
2) 実務上の簡便法として、契約獲得コストを資産として認識した場合の償却期間が1年以内の場合は、発生時に費用として認識することを認める

(束になっている契約)
1) 束になっている契約(サービスとともに、そのサービスに関連する財を顧客に移転することを約束する契約。
2) 束になっている契約に、2011年の改訂公開草案におけるポートフォリオ・アプローチ(第6項)を用いることができることを明確化する。

(認識する収益の累計額の制限−ライセンス)
1) 顧客による事後的な販売に基づいて対価が変動する場合(例:売上に基づくロイヤルティ)についても、認識する収益の制限に関する一般的な原則(第81項から第83項)を適用する(顧客による事後的な販売に基づいて対価が変動する場合は、販売が発生するまでは収益を認識してはならないとしていた、2011年の改訂公開草案の第85項の提案を削除する)。
2) 認識する収益の制限に関する一般的な原則において、企業が受け取る権利を得ると予想される対価の見積りに基づいて認識する最低限の金額は、ゼロになる可能性もある旨を明記する。


− 公開草案「非金融資産の回収可能価額の開示(IAS第36号の改訂案)」を公表
2013年1月18日、公開草案「非金融資産の回収可能価額の開示(IAS第36号の改訂案)」を公表。重要なのれんまたは耐用年数を確定できない無形資産の回収可能価額の開示、及び減損損失の認識または戻入れを行った場合の減損後の資産の回収可能価額の開示に関する規定を明確化することを提案。


以下の国際会計基準を、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」を指定国際会計基準として指定。 公布の日である2012年12月28日から適用される。

IFRS第3号「企業結合」(改訂)
IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」(改訂)
IFRS第7号「金融商品:開示」(改訂)
IFRS第9号「金融商品」(改訂)
IFRS第10号「連結財務諸表」(改訂)
IFRS第12号「他の企業への関与の開示」(改訂)
IFRS第13号「公正価値測定」(改訂)
 IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」(改訂)
 IAS第12号「法人所得税」(改訂)
 IAS第24号「関連当事者についての開示」(改訂)
 IAS第27号「個別財務諸表」(改訂)
 IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」(改訂)
 IAS第32号「金融商品:表示」(改訂)
 IAS第34号「中間財務報告」(改訂)
 IAS第39号「金融商品:認識及び測定」(改訂)


− 企業結合

1) 子会社株式の追加取得時の追加取得持分と追加投資額との差額の処理
行基準: のれん(負ののれん)
改正案: 資本剰余金

2)子会社株式の一部売却時の売却持分と売却価額との差額(支配関係が継続している場合)
行基準: 売却損益
改正案: 資本剰余金

3) 非支配株主から自社の株式のみを対価として追加取得する子会社株式の個別財務諸表上の取得原価の算定
行基準: 時価により算定
改正案: 子会社の適正な帳簿価額による株主資本の額に基づいて算定

4) 取得関連費用(外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・費用)のうち対価性が認められるもの
行基準: 取得原価に含める。
改正案: 発生時に費用処理。 取得原価に含めなかった取得関連費用は注記する。

5) 企業結合年度の翌年度に企業結合時の暫定的な会計処理の確定が行われた場合
行基準: 損益影響額は翌年度の特別損益に計上
改正案: 遡及的に適用する(企業結合年度の財務諸表に反映させる)

6) 名称または内容の変更
行基準:「少数株主持分」、改正案:「非支配株主持分」
行基準:「少数株主損益調整前当期純利益」、改正案:「当期純利益」(少数株主損益を含む)
行基準:「当期純利益」(少数株主損益を含まない)、改正案:「親会社株主に帰属する当期純利益


− 無形資産
企業結合時に、米国基準/IFRSに準じて識別可能な無形資産を識別・評価すべきか否かについての審議。


− 連結・特別目的会社
一定の特別目的会社に関しては、その特別目的会社に資産を譲渡した企業の子会社に該当しないものと推定する、とする現行規定(企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」第7-2項参照)について依然として問題意識がある。今後の検討。
1)特別目的会社に対する支配力基準の具体的な適用
2)代理人の取扱い
3)連結対象となる企業
4)資産の流動化に関する会計基準
5)関連会社への該当